The TrackBaller

Let'snoteのHDD交換が完了したこともあって,最近モバイル環境について考えていた.モバイル環境の必須事項としては軽くて小さくて剛性のある筐体や,長時間もつバッテリなどである.逆にある程度の妥協点としてはディスプレイやキーボード・ポインティングデバイスなどのインターフェイス部分となる.


ディスプレイのサイズはサブノート程度のサイズがあれば気にしないが*1,以前使っていたThinkPadと比較すると使いにくさを感じるのがキーボードとポインティングデバイスである.Let'snoteのキーボードは結構キー配列が特殊で,一部のキーが妙に小さかったりする.サブノートでも妥協しない使いやすさのキーボードと慣れると使いやすい上,キーボードから手を離さず使えるトラックポインタを備えた技術者向けのThinkPadと,何よりも軽さと耐久性・ある程度万人が使えるトラックパッドを備えたビジネスマン向けのLet'snoteのターゲッティングの違いと言える.日本でのビジネスとしてはマスの大きかったLet'snoteが勝ち,ThinkPadIBMじゃなくなったとかワイドディスプレイになりやがったとかトラックパッドが付くようになりやがったとかでいまいち好きになれず,我輩としてもLet'snoteに移ったわけだが,やはり一技術者としては以前のThinkPadが恋しく感じるものである.


さて,キーボードは取り替えるわけにもいかないので仕方ないが,トラックパッドについては個人的に全く使いやすいと思えないデバイスなので代用品を探すことにした.基本はモバイルマウスだが,マウスというのは意外と環境を選ぶ.ある程度の広さが必要であったり,光学式なら単色や鏡面だと問題がある.レーザーマウスならいいかもしれないが結構高価だし,マウスパッドまで持ち歩くのは面倒だ.逆にボール型はメンテナンスが必要だし,何より今更感が強い.


ということで,今更ながら初のトラックボールを購入してみた.親指を使うのは嫌いなので,人差し指タイプである.

ケンジントン 【正規品・5年保証付き 】 OrbitOptical(USB/PS2) 64327

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以前,初のトラックボールにいきなり「Kensington Expert Mouse 5」を購入した*2TrackBallerの友人にトラックボールを進められたときは,トラックボールは我輩には使えんと拒否していたが割と舌の根も乾かぬうちにさくっと鞍替えするあたり我輩も現金なものだと思う.


過去に購入したキーボードにくっついていたトラックボールはすべりが悪くボタンが押し辛いなど非常に使い辛いものであったが,さすがにエントリーモデルとはいえ専門メーカーのものは違う.ボールのすべりが良く,ボタンの位置も悪くない,使用感は上々である.使い慣れたマウスと比較すると概ね以下の様な感覚である.

  • 細かい移動は難しい
  • ポインタ移動のやりやすさが方向によってばらつきがある
  • ドラッグがちょっと苦手
  • クリック時にポインタがずれることがある(慣れの問題か。)
  • ダブルクリックが若干やりにくい(これも慣れの問題か?設定の問題のような気もする*3。)
  • 設置位置がベストでないと腕に負担がかかる*4
  • スクロールがないため,スクロールがめんどくさい(製品の問題か。)
  • マウスドライバやフリーソフトのソフトウェアスクロールはブラウザスクロールが妙に遅延する
  • スクロール操作自体は結構楽しい
  • 画面の端から端へのポインタの移動がやりやすい
  • 左手で使える

以上,現状では短所の方が目立つように,買う前からの予想通りまだマウスのほうが使いやすい.それでもトラックボールを使おうと思ったのは,上記リストの最後の項目,左手で使えるという大きな利点である.特にモバイルでの使用をイメージすると,左手でトラックボールを使いつつWebを見ながら右手でメモを取るというスタイルを取れるのは大きい.


以前自宅でマウスを左側に用意して左手での操作にチャレンジしたことがあったが,手首から下全体を動かさなくてはならないマウスではどうしても利き手でない操作には違和感が残り結局やめてしまった.しかし,人差し指と中指だけでボール操作が可能なトラックボールの場合,左手での操作に全く違和感がない.むしろ最初から左手で使用しているため,右手よりも使いやすくなっている.ちなみに設定は右手用のままで,メインのクリック操作は中指と小指である.これは我輩が親指での操作が嫌いなためで,特に親指でのダブルクリックがやりにくいためである.


このトラックボールは基本的に持ち歩いているため,職場でもこのトラックボールを使用している.左手でポインタ操作をしつつ右手でメモが取れるのは,設計などイメージを固める時に非常に役に立っている*5.ともあれ難点もあり,マウスと組み合わせたショートカットキーによるコピー&ペーストは非常にやりにくい.テキストエディタでのコピー&ペーストはXKeymacsによりEmacsのキー操作を使えることで問題は緩和されているが,エクスプローラによるファイル操作はちょっとめんどくさい.


と,一長一短はあるものの,左手でトラックボールは結構お勧めの組み合わせだと思う*6.パソコンを使いながら利き手をフリーにしたい人は一度トライしてみる価値はある.

*1:UMPCはまともに使おうとするとちょっと小さい気がする

*2:それ以前にトラックボールを使用していた形跡がなかったので多分初だと思う

*3:我輩のダブルクリック認識速度は結構早めに設定してある

*4:トラックボールは疲れにくいといううわさだったので,これはちょっと意外だった。

*5:自宅では机が狭くてメモは取れなかったりする

*6:ただし広い机は必須